top of page
h1title.gif

​はじめに

 わたしたちはプロの翻訳家のグループです。アルファベット26文字を日本語50音に移しかえるのが仕事です。仕事柄、たくさんの作品を読みます。でも、そのうち日本で出版にまでこぎつける作品はごくわずかです。そこで小説を読む喜びを読者のみなさんと分かち合い、とくに昨今の出版をめぐる状況のせいでなかなか紹介の進まない、新しい作家や作品をいちはやく紹介するためのサイトをたちあげました。
 
 いまは無料の文化の時代といわれます。情報はインターネットの無料サイトからとるのが当たり前、テレビも無料だからNHKへの受信料も払いたくない、ゲームもケータイの無料ゲームでじゅうぶん、という人たちが増えているそうです。これは日本だけでなく世界中に広がっている傾向のようです。でも、そうした人たちもまったくお金を使っていないわけではありません。パソコンや液晶テレビ、ケータイ電話機にはお金を払っています。デパ地下の試食品の人気も、つきつめれば何かを買いにでかけた人たちでにぎわっているのです。では、本を買ってもらうにはどうすればいいか。ただでサンプルを読んでもらおう、というのがこのサイトの狙いです。みなさんが作品を読み、応援してくれることで、そうした作品が日本で出版されるきっかけが生まれればうれしいです。
 
 わたしたちはもともと洋楽のファンでした。音楽にはラジオがあり、生演奏を見られるライヴ・ハウスなどがあります。わたしたちはそんななかで好きになったバンドをCDやレコードを買って楽しむ、という習慣を身につけてきました。小説でもそんな媒体があればいいのに、と思ったものです。かつては新聞雑誌などがそうした役割をになってきました。でも、いま翻訳の小説を読める雑誌の少ないこと。これでは作家や作品を好きになるきっかけがないのでは? ラジオやライヴ・ハウスの小説版ができないかな、というのがこのサイトを発足させた動機です。
 
 したがって、ここでとりあげる作品、作家は、日本で出版できる可能性をもったもの、ということになります。まだ本の形になったものが一冊もない、本当に新しい作家や、あまりに先鋭すぎて読者が極端に限定されるような作品は、残念ながらここでとりあげることはありません。すでに日本で紹介されたことがあり、担当者がいまでも出版できる機会を探っているであろう作家も、ここでとりあげるのは妥当でない気がします。まだ日本で紹介されていない、新しい作家や作品を、たぶんみなさんのなかに好きになってくれる方もいるだろう、わたしたちの喜びを分かちあってくれる方 もいるだろう、と思って翻訳に取り組みました。読書の楽しみを広げたい、というのがわたしたちの心からの願いです。
 
 また、日本からの情報発信もおこないたいと思っています。わたしたちが読むのは原書だけではありません。日本の出版文化を海外に紹介し、読書の喜びを海外にも広げていきたいと思っています。そのため、英語ページも併設しています。いろいろな方にこのサイトを楽しんでいただければ、と心より願っています。
 
 作家の方たちにはこのサイトの趣旨をわかっていただいた上で、快くウェブ上での出版権を許可していただきました。心から感謝します。すべてここに掲載されているコンテンツは著作権のあるものです。閲覧もリンクも自由ですが、内容の改竄や転用 は固く禁じます。

 

出版関係のみなさまへ
 
 わたしたちはここで取りあげる作品や作家をみなさんに出版していただきたいと思っています。ぜひ、この作家の本を、あるいはこうした作品を集めた作品集を、わたしたちの翻訳で出版してください。ここではメンバー全員がおもしろいと思った作家や作品を取りあげています。きっと日本でも多くの方に喜んでいただける作品です。ご関心をもっていただければ、ツイッター経由でご連絡ください。翻訳に関しては、わたしたちが責任をもっておこないます。販促のお手伝いもさせていただきます。よろしくお願いします。

bottom of page